OldLionの備忘録

年老いたライオンは錆びない。狩りを続け、振る舞いは日々深みを増していく。 いつまでも自分を忘れず、狩りを忘れぬライオンでありたい。 そんなライオンになるための日進月歩。

藤田田「ユダヤの商人」を読んで

藤田田ユダヤの商人、読んでみて率直な感想は、反骨心にあふれているな。ということだ。ユダヤ人は契約や金勘定にに忠実で、その分身内の人間の結束に対して並々ならぬ信頼をおいている...それに翻って日本人は誰に対しても人情が通じると思っていて、外国人も含め誰に対してもヘコヘコついていく。。。そんな姿が許せなかったのだろう。

この時期の日本人の起業家物語はいくつか読んだことがある。木下藤吉郎とか、鈴木敏文、小倉昌夫、宮本義彦など。全ての経営者に共通していたのは、「海外」が仕組みやアイデアの源泉になっていて、それが日本市場への突破口になっていたことだ。今回の藤田田に関して言えば、マクドナルドの成功は圧倒的なコスパであったと言える。。本書で言及されたことではあるけど、国産で1つ15円のコップが、アメリカから輸入したら1個2.5円で仕入れられる。それに加えて海外で流行っている商品がミーハー心を掴んだようだ。

こうみると、ビジネスが商人のものだった時代なのだなぁと感じる。そのころは、ケネディ大統領の「強いドル政策」の名の下に円の切り上げが行われ、プラザ合意まで含め徹底的に日本の輸出には不利な情勢になっていった。ユダヤ人が激しいドル売り円買いを行ってぼろ儲けしていたことを、指を加えてみていたのが藤田で、なぜこんな状況にも日本は何もしないのか、外貨準備高ばかり積み上がって海外に寄付しているようなもの...そんな「ダメな日本」への危機感が非常に大きく伝わってくる。


だが、だからこそ「輸入」に活路を見出した小売商売が活況を呈した訳だ。海外の為替との関係性を読み取り、適切なビジネスを始めれば競争優位性を持つことができた時代、価値の間隙を狙う、商人の時代だったのだろう。

日本人が金髪になる時こそ、日本人が世界に通用する人間になる時だ。
ハンバーガーで日本人を金髪に改造するぞ

 ここら辺を言い切ってしまうあたり、本当に戦後の反骨心が原動力になっているんだろうな。

 

タルムード:ユダヤの教典 バンザイ屋