アトピーの治し方 を読んで
誰の著者かチェックし忘れてしまったけど、アトピーの本を読んだ。
以下のリンクにもあるけど、アトピーを結構社会学的に捉えているポイントが面白かった。
- 本来ステロイドを重症度に合わせて処方することで完治させることができる(ただし、塗る作業など、患者さんにある程度頼らざるを得ない)
- 1990年代にステロイドバッシングが始まったことで、今までステロイドで治療していたものができなくなってしまった
- その結果アトピーに市場が生まれた。アトピーを直すための脱ステロイド療法が蔓延した。木酢湯や食事療法など、様々な方法が生まれた。だが、医学的に根拠がない治療法で、ある種の信仰としてステロイドのカウンターパートになった。
- プロトピックなど、即効性がなくても効果が全体的に期待できる薬剤が生まれ、2000年からは新しい医療法が多く提案されることができる。
日本では小児喘息の死亡者がゼロになるなど、アレルギー対策で大きな進歩をみられる領域が沢山ある。だが殊アトピーについては、「医療関係者が自信を失った」点に特徴がみられる。医者も根拠に基づいて療法を提案するが、お客さんの評判がついてこないと事業が運営できない。だから根治ができるような療法は積極的にすすめづらくなる。結果として「アトピーは治らない病気」になってしまった。
当時は脱構築・ポストモダンと言われる通り、少なくとも既存の価値観をなんでも再転倒することが正義だと思われる時代だった。建築でもカルチャーでもなんでも。だが、それが絶対的な権力の砦である医学に入った事例は初めて聞いた。
もちろん、僕もステロイドを使ってアトピーが悪化したことが何度もある。だけど、正直かなりコントロールが難しいし、根気よく薬を使い続けるのは相当しんどかった。だけど、それが果たして医者の責任だったかというと果たして疑問だ。
市場が、「医療」や「教育」など権威のおこぼれとして生まれていく、という仕組みは非常に興味深い視点だと思った。ちょっと穿った見方だけど...