OldLionの備忘録

年老いたライオンは錆びない。狩りを続け、振る舞いは日々深みを増していく。 いつまでも自分を忘れず、狩りを忘れぬライオンでありたい。 そんなライオンになるための日進月歩。

丸亀製麺がなぜNo.1になれたのか?を読んで。

丸亀うどんはなぜNo.1になったか。を読んだ。

経営論の部分はピンと来なかったが、業態開拓や拡大に伴うスタッフの育成やメニュー開発、PRの仕方などは参考になる。

 

最近飛ぶ鳥を落とす勢いだと感じる粟田貴也社長が率いるトリドール 。晩杯屋やポートヌードルなどの新しい業態を創出する業態創出業だと彼らは自らを自負しているようだ。郊外出店で打ちたてのうどんを提供する、セントラルキッチンを利用せず天ぷらなども全てその場で作る。麺匠制度を設け、味を絶対にブラさないように徹底する。これらの取り組みは従来の都心立地型のはなまるうどんなどとは違い、新鮮だった。それが講じて2018年は国内外合わせて1000店鋪を達成している。

「来ないお客様をいかに来させるか、売れないものをいかに売るか」

これは面白い格言だと思う。恐らくマクドナルドはそんなことは言わないだろう。マクドナルドの食文化は国民の習慣の中に組み込まれ、お客様は来るものだからだ、いかに思い出してもらうか、とかだろうか。だから、トリドールが掲げる業態創出こそが平成らしい外食産業のあり方だと思う。分散化した嗜好に対していかに提供方法を工夫して価値を作るか。一つのブランドでは総取りできなくても、業態の積み重ねで買っていく。

 

マクドナルドは日本で3000店弱、吉野家は1200店くらい。吉野家は3600店が世界で展開している。丸亀はまだ海外200店舗くらいなので、ハワイが世界一の売上を記録したとしてももっと色んなトライができそうだ。きになるのは利益率で、マクドナルドはセットの利益率が異常に高いから、営業利益率が30%弱になる。だが、丸亀は工夫をしまくっている分7%くらいである。

牛丼屋と比較するのは申し訳ないけど、吉野家と丸亀が姿勢や出店の姿勢も含めて似ていると思う。今は丸亀は店舗数をベンチマークするけども、日本国内は頭打ちが近い。そうなったら既存顧客をアプリなどで特定してリテンションを指標にする時が来るのかもね。それが新業態のあるべき姿な気がする。

あと、インドネシアもタイもGIなど一級モールに出店しているけど、思ったほどの飛び抜けはなかったんだと思う。理由は二つで、一つは都心モールで出店したから賃料が圧迫して、集客目標を高めに設定しなきゃいけなかったこと、二つ目は従業員の教育コストが高すぎて、人を雇いまくって高度の分業化をした結果、費用がかさんで、かつ全体として作業の改善提案が見られなかったこと。その結果、丸亀は人が入っているように見えるけど、回転率が悪く客単価も低い、みたいな状況になりがちなんじゃないかな。

(あくまで想像だけど。)そうすると本来の強みである郊外出店に二の足を踏みたくはなるんだろうね。

 

こう客観的に数字を比較してみると現代のファストフードの雄と言えど安泰とは言えないことがわかる。国内に関しては、郊外出店しかできないから物資の配送効率も悪く、従業員の確保にも困難が伴う。そこをソフトな価値観の部分だけで乗り越えられるものだろうか?今後が見ものである。応援はしたい。