OldLionの備忘録

年老いたライオンは錆びない。狩りを続け、振る舞いは日々深みを増していく。 いつまでも自分を忘れず、狩りを忘れぬライオンでありたい。 そんなライオンになるための日進月歩。

議論好きなインド人 を読み返す

インドはGDP成長率で7%をこえ、今や中盤に中国よりも発展の有望株として目視されている。
ただ、ユニコーンの数でいくと世界4位であり、Paythm OyO Ola Snapcart Inmobi Zomatoあたりが注目されているが、まだ経済圏を取りに行けるほどの大きな活躍は聞いていない。
 
インドネシアとインドは発展というか、統治を行うのに共通の課題を抱える。非常に大きな人口が広い国土の中に点在するため民族や地域アイデンティティが宗教アイデンティティと同じくらい強くなってしまう。インドネシアではパンチャシラという統一宣言がなされたが、この役割に当たるのが独立の父ネルーや、インド大陸を統一したアショカ王、ガンディー、イスラムの神アクバルなどが唱える自由と寛容の精神に立脚した民主主義だった。インドの詩人ダゴールは異文化コミュニケーションの中で理性的な議論を行い、それが合意形成に繋がるという理想を掲げる。これが「大きなインド」と呼ばれるものだ。
 
一方でヒンディー至上主義のように、宗教にインドの統一を目指す団体も存在する。当時のインドネシアでいうアチェ解放戦線のような感じだろうか。だが、彼らは多数派でもあり、他国のディアスポラから圧倒的な支持を得て、現在もモーディー首相率いるインド人民党として第一党として君臨する。
彼らはこじつけではあっても、サンスクリットインダス文明に対する優位を主張し、歴史の固有性を主張し、一方で選挙運動として宗教的なガネーシャキッチュを配布して回ったりする。これがインドを特定の側面でくくろうとする「小さなインド」だ。
 
アマルティア・センは、ケーララ州を例に、民主主義の土台となる人民への教育の普及が第一に必要だと考えている。そして、現段階で識字率は73%まで向上してきているようだ。まだスタートアップが育つような場所ではないのかもしれない。恐らく海外から注目されすぎて、大企業に入るステータス的なものが優先されているんじゃないだろうか。今後市場としてたち現れるなかで、どのように政治的な意思を見せられるか、注目である。