日本企業のCSRを見返す
SRI( 社会的責任投資銘柄)への投資金額は、僕がCSRを勉強していた2013年から2倍くらいに伸長しており、ファンド規模は全部で2500億円くらいになったのが2016年だったようだ。世界的にESG ETFはどんどんファンド規模が大きくなっている一方で、日本では2006年のブーム以降は銘柄本数も投資残高もいっこうに増えていっていないようだ。
日本では1993年がフィランソロピー元年、2003年がCSR元年と呼ばれている。前者はバブルの影響から、自分達の余剰資産の税対策という側面が強かったが、2003年は、エンロン事件に端を発した国際的なガバナンス強化の風潮の中でコーポレートガバナンスの強化が叫ばれ、リコーをはじめとした名だたる日本企業がCSR対策室を設け、対外的に発表するようになった。だが、これも外からの圧力が強い。今や外国人の持ち株比率は30%だから、ガバナンスを整えていないと、物言う株主に株を買われて経営に口を出されるようになってしまう。そういう意味で日本でも株主の発言権が順当に強くなりつつあるようだ。
一時期はステークホルダー理論やCSV理論を援用した社会貢献の方法を模索するような動きがあった。その時はどうにかして啓発的自己利益とかの理論を使って、なんとか回り回って自社の役に立つ社会投資の方法を模索していた感がある。SCPという理論があって、社会的ステークホルダーに対しての長期的な投資をCSRの一環で正当化していく。これは地域社会とか従業員の健康とか、事業に直接の発言権を持つであろうステークホルダーが誰か明確である場合には有効だ。