OldLionの備忘録

年老いたライオンは錆びない。狩りを続け、振る舞いは日々深みを増していく。 いつまでも自分を忘れず、狩りを忘れぬライオンでありたい。 そんなライオンになるための日進月歩。

ソーシャルメディアの生態系を読んで②

この動きに対し、著者は生態系のさらなる進化を指摘する。各々の構成員がハブとなるインフルエンサーを介さずに繋がっていくことでより完全に有機体に近づいていくという。各構成員が発信したもの価値が正しく評価され、その価値によって伝播していく状態。インフルエンス=エナジャー=原動力がなくとも伝播する可能性が開かれている状態。この一つの前提として各人が発信するコンテンツに正当性を保証し、場合によってはリワードを行う仕組みであるブロックチェーンが注目される。各人が正当性に則ってコンテンツに正しい評価をもらえる状態を作ることだ。

 

もちろん進化の過程としては綺麗だが、あまり現実味が無いように思わなくも無い。

最近は、ホラーキーをもして、ホラークラシー組織が登場している。これは仕事での役割がホロン(構成単子)になってサークルを形成し、それぞれが自律して(決定権を持って)お互いに包含関係を築いている。(Dev>DepOp>Architetuer的な)

だが、各役割が自分の属するサークルをアジャイルに成長させる動機がなく、であれば細胞の持つ増殖の役割を限定することになるからだ。確かに、一つの構成端子が勝手に結びついて単子の数を増やしていく(やりたいことをやりたいようにやって繋がっていく)的な動きがあればいいかもしれないが、ならばもはや組織である意味がないように思う。(逆にWF型のように互いのサークルが干渉しない状態だと全体からの影響は強まるけども、各サークル同士の影響力が弱まって組織が硬直してしまう。)

 

上記のように、組織としての拡大モメンタムを掬いきれないことで、活力のないネットワークしか生まれないのではないか、というのが僕の意見ではある。

 

何れにしてもソーシャルメディアの情報の伝播を一つの生態系になぞらえたことにこの本書の価値がある。人間が情報発信をする時に、全体モメンタム(テレビ的)と各サークルの自律的成長(ミーム的)の2軸で何が重視されるのかは時代によって変わりそうだ。

https://medium.com/@hirokishimada_80077/%E3%83%9B%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%BC%E7%B5%84%E7%B9%94%E3%81%B8%E3%81%AE%E8%AA%A4%E8%A7%A3%E3%81%A8%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AE%E6%84%8F%E5%91%B3-a304d75251ae