OldLionの備忘録

年老いたライオンは錆びない。狩りを続け、振る舞いは日々深みを増していく。 いつまでも自分を忘れず、狩りを忘れぬライオンでありたい。 そんなライオンになるための日進月歩。

コミュニティマネジメントという領域が最高に面白い

リクルートメントマネジメントが「候補者の興味形成をハックする」という仕組みであるとすれば、コミュニティマネジメントは「コミュニティの適切な成長をハックする」仕組みだと言える。最近こういう抽象的で、概念化が難しいと思われている領域に切り込む学問が出てきて面白いな。
 
上記馬場さんのSlideShare資料、最高に密度が高くて面白かった。以下に面白かったポイントを。
0. コミュニティとは
オーディエンスとは、主催者とユーザーとの関係性。コミュニティとはユーザー同士の関係性であるという。SNSやツールを通じて、ユーザー同士のコミュニティを活発化させる環境づくりを意図的に行えるようになったという。
 
1. 経験学習モデルへの当てはめ= なぜコミュニティーは必要なのか
コミュニティに期待されるのは、継続率の向上・製品アイデア・紹介など。コルプの経験学習モデルにある通り、具体的経験から省察的内省・概念化のプロセスを経て初めて学習は定着する。この内省のプロセスは、集団化し、ユーザー同士が活発に交流することで促進される。その結果、コミュニティを通じて自社プロダクトの関与領域に対するエンゲージメントを高められる可能性がある。(FlyWheelモデルへ組み込む。)
 
2. 機能するコミュニティは少なく、コミュニティは必ず衰退する
GithubSpotifyなど、コミュニティは上位1%の決定的な関与やエンゲージにより成り立つが、その周りには弱い繋がりをもつメンバーが同心円的に多くなる。強い結束を求めるコミュニティは新陳代謝がなくなり、弱い連隊のコミュニティーはコアメンバーが定着しづらい。この新陳代謝とファン化の適切なバランスを取ることが成長の鍵。本当に機能するコミュニティは0.7%であるという統計データがあり、またコミュニティは必ずいつかメンバーの経験サイクルのなかで衰退していく。なのでフェーズに合わせた対応が変わってくる。
 
3. どうやってやる
オンボーディングのVAC(Value/Attachment/Contribution)という概念が役にたつ。それぞれ価値・愛着・貢献。定期的にリズムを持って開催する、来たくなるトリガーイベントを定期的に起こす・フォローする・レスポンスは早くする・タッチポイントを増やす・仲間づくりを促進するなどの方法がある。当然だが、コミュニティへの提供価値に合わせて参加者への期待を変える必要があり、出来るだけパーソナライズされた体験(初回なら同じ思考を持つメンバーと引き合わせる・3回目からは登壇アレンジを依頼するなど)を提供する必要がある。
また、来ている参加者の期待が何なのかは言語化できるようにし、それに対した満足度やリピート度合いなどをKPI設定する必要がある。(数の成長率をKPIにしない。)
 
4. 内部メンバーのコミュニケーション
3つのBを意識する。Bridge(橋渡し)/Bandwidth(結束を強める)/Begin(頻度を定期的に保つ) Basecampなどの非アクティブがUX的に正当化されるツールはコミュニケーションを自然なものにするために有用。
 
今オンラインサロンが圧倒的に人気になってきて、参加者同士のコミュニティ内での貢献で自分の名声が付いてくるため、明確なインセンティブを持って参加者によりコミュニティーが運営されているという稀有な状況が生まれている。その意味で、イケハヤから西野へ、という変遷は結構大きい。オーディエンス型からコミュニティ型へ移っていったからだ。
だが、このノウハウを一般化し、誰にも意味のあるコミュニティをデザインしていくというのは今後マジで流行ってきそうだな、と思われる。自分もカスタマーサクセスの業務の一環でチャレンジしたいなぁー日本でもやりたいことばっかりやなぁー