1995年 未了の問題圏を読んで
彼女はこの時代を「平坦な戦場」という。バブルの崩壊の途上で、ゆるやかに日常が流れていく。それは1980年代以前のペースで。だけど、そこには流行のモードへの適応や、能力などでマウントされるかどうかが決まっている。だから誰もがゆるやかな日常を遅れる訳ではない。日本の成功例があからさまに規定されるようになったことで、明らかに序列が発生し、そのなかでのコードを守らなければならない。
1990年の中盤にヤマンバギャルやパラパラなど、以上な勢いでギャル文化が生まれていったが、あれは彼らの同調と傑出のコミュニケーションが極致に達した地点に存在する、いわゆるどん詰まりだったのだろうと今では思える。
今や派遣が常態化し、みんなのコミュニケーションの平準点が、今までの高みから地滑りしたことで、誰もマウントをとろうとは思わなくなるのだろう。社会はそれぞれの階層の中で個人がなんとか生きるようにアトムとして設計され直されているのだ。だから殊更に死とかいうワードは聞かなくなったが、だが実態はなにも変わっていない。