OldLionの備忘録

年老いたライオンは錆びない。狩りを続け、振る舞いは日々深みを増していく。 いつまでも自分を忘れず、狩りを忘れぬライオンでありたい。 そんなライオンになるための日進月歩。

貞観政要のリーダーシップ ーサーバントリーダーシップを巡ってー

最近はサーバントリーダーシップという言葉が流行っている。

これはまさに李世民(太宗)が魏徴を側臣に迎え、唐の治世での様子を書いた「貞観政要」によく現れていて、ライフネットの出口さんの座右の書にもなっているようだ。一番まぁ理解しやすい思想は「3つの鏡」というものである。「銅の鏡」「歴史の鏡」「人の鏡」を意識してリーダーは振舞わなければならない、というもの。銅の鏡は自分の姿、常に自分が良いリーダーであるように振る舞いをただすこと、歴史の鏡は過去の状況から今の状況で正しい意思決定をできているか、人の鏡は第三者からの諌言を受け入れられるのかどうか。
①組織はリーダーの器以上のことは何一つできない(だからあえて自分の器を捨てて、他のメンバーにその器を満たしてもらう)

②リーダーは自分の都合の悪いことを行ってくれる部下を側におくべきである

③部下は上司に阿ってはならない。

だから、普段自分の周りにいるメンバー(適材)に一切をまかせ、自分は判断を行うために相談に乗れるようにすること、彼らの意見には必ず耳が痛くても耳を傾けること、という鉄則を抱えている。

当時は、実務が法家・理想を儒家・道理を道家がになったように、仏教を通じて国を治める姿勢があったからこそこういう思想が生まれていったのだろう。

実に日本的な発想だな、と思う。以前伊丹敬三や丹羽宇一郎などが指摘した、終身雇用を前提とした日本の完了システムでは、トップは意思決定を、現場が方針策定を担っていたからこそ、現場のイノベーションが生まれたという意見がある。

部下を褒める・叱るの割合は3:1と本著でも指摘されているのだけど、「楽しく」仕事するための環境づくりをいかに進めるかがリーダーの役割なのだということである。

 

マキャべリのように「君主は獅子のように獰猛に、狐のように狡猾に」行動し、自分の腹心以外は徹底的に排除する...(民衆は愛を持って接するものを徹底して攻撃し、攻撃するものには何も言わない)という「恐怖的」なマネジメントとは結構真逆である。

 

https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11843.html