OldLionの備忘録

年老いたライオンは錆びない。狩りを続け、振る舞いは日々深みを増していく。 いつまでも自分を忘れず、狩りを忘れぬライオンでありたい。 そんなライオンになるための日進月歩。

日経BP「ビジネスを変える100のブルーオーシャン」を読んで

ビジネスを変える100のブルーオーシャンをざっくり舐めて読んだ。
正直BtoBへの技術革新に触れていないので、全然イノベーションについて網羅されていない気がするけど、以下気になったトレンドについてマーケットインとプロダクトアウトの2つの側面から検討したい。

 

①マーケットイン

- 終活マネジメント

- 情報銀行

- 完全食

サードパーティの情報が今までは非常に大きなエコシステムを構成し、それがファーストパーティのものまで広がる見積もりが出ている。今ファーストパーティの情報の相場は非常に価値が高い。これは企業にとっての需要が高い訳だが、例えばユーザーのアンケートをとるというだけでも非常に高価である。その割りにはそれを活用しなくてもなんとかなる企業と思っている企業が多い。だから供給側がマーケットを壊すくらいに廉価で情報を仕入れられれば一気に普及が進むと思われる。エンドユーザーに情報の所有権を持たせ、簡単に情報を切り売りする仕組みができれば良いのではないかな?(アンケート企業の、もっと受け渡せる情報に幅を持たせるイメージ。)

完全食については、CompとかBasefoodとか意外と日本でも流行ったけども、まだまだ一部の生産性化物が、物好きで頼んでいるイメージ。でも海外展開とかはやりやすいんじゃないかな?

https://note.com/ikuzeee/n/n9e9b01559dc0

 

②プロダクトアウト

- ハプティクス

ハプティクスは触覚に関する技術全般を指す。現段階ではリモートで手術を行ったりレッスンをしたりなど、物理的なオペレーションを「その場に担えないリスク」を軽減できる技術。コロナなどの感染症対策としても有効だし、今後非常に需要が高まっていくはず。精度の高いデバイスが普及することで、人がその場にいなくても手術ができる。ので、名医の手術を受けるのに海外に行かなくて良いかもね。

(ちなみにモーションセンサーで触覚を再現するのもハプティクスっていう)

https://bae.dentsutec.co.jp/articles/haptics/

https://ja.3dsystems.com/haptics-devices/touch

 

- VRR (仮想発電所)

少量電力の制御をIoTなどに行わせ、需供管理をやろう、という技術。全体量をコントロールできれば、無駄な電力送信も必要なくなり、最適化の中で再生可能エネルギーを差し込むこともできるようになるみたい。同じような「最適化テック」はサプライチェーンマネジメントとか企業間での人材プラットフォームとかでも利用できるようになるのではないかな。

https://blog.eco-megane.jp/vpp%EF%BC%88%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88%EF%BC%89%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F/

 

- エッジコンピューティング

末端のコンピュータで情報の処理を行わせよう、という取り組み。現在はクラウドへのアップロードした後に処理が行われるけど、それだとライフラインが遮断した時にアクセスできなくなるし、クラウド側の故障により甚大な影響が出る可能性がある。IoTや5Gなどを使った生活では、非常にこのリスク部分が出てくるので、ある程度ローカルの環境で作業担保できる仕組みが必要。

https://www.sbbit.jp/article/cont1/35432

 

 

一番実現に近づいて欲しいのはVRRかなぁ。他の産業でも応用可能性があるし。でもビジネス的に実現可能性や産業余地があるのは情報銀行なのかなぁって思ったりする。

 

 

 

 

 

市谷聡啓「カイゼン・ジャーニー」を読んで

この本でも沢山のノウハウが詰まっていたが、備忘録として、印象に残った点を3つだけ書いておく。

- ユーザーストーリーマッピングとバリューストリーミングマッピング

製品開発の根拠探す、すなわち何が課題かを振り返る場所が必要な時、2つの観点から探れることが良さそう。それは完璧にユーザーの課題をジャーニーに沿ってまとめた前者のフレームワークと、価値実現するための内側での対応プロセスを書いた後者である。特に後者では本当に価値を届けるためにどこがスタックポイントになるかを書いていく。

https://www.edrawsoft.com/jp/value-stream-map-introduction.html

- インセプションデッキの課題粒度

10の質問に答えることで、その開発課題の「なぜ」「何」「どうやって」が一覧可視化される。だけど、このインセプションデッキにどの課題を持ってくるかは、かなりバラバラ。この粒度を揃えないと、開発側に同じ強さのパスが出せない。

https://www.slideshare.net/rootmoon/agile-samurai

 

- チームで役割が曖昧・・・ドラッガー式チームビルディング

以下を参照。チームでお互いの強み弱みを把握しながら適切なタスクをアサインするので、チームが発足してすぐくらいでやっても良い

https://tech.pepabo.com/2017/07/07/the-drucker-exercise/

 

スプリントの回し方や、アジャイル・カンバンなど、今まであまり勉強しきれてなかったポイントを、現場の課題に沿って理解出来て非常にいい本だった。

 

https://note.com/campfire_dev/n/n2a46e3832207

ダニエル・ピンク「When 完璧なタイミングを科学する」を読んで

この本は「When」に関するノウハウ本だ。

なので、いかに要点をいくつかまずは書いておきたい。

 

- 午前中に集中できる時間がやってくる。午後にひらめきが必要な仕事を持ってこよう。(僕みたいな明らか夜型だと、夕方以降が集中のピークになるらしい)

- 休憩を取ると大幅に生産性が向上する。(20分以内の昼寝ならぼんやりするタイムラグが発生しない。)

- スタート:スタートのタイミングでパフォーマンスが変わる

A 明らかに8:30でスタートした授業の生徒はそれより遅い生徒よりもパフォーマンスが悪い)=モチベーションが上がる節目節目を大事にする。(学期の始まりなど)
B 就職したタイミングが不況だと、生涯賃金が明らかに低い

- 中間地点:人間は必ず中間地点でパフィーマンスが落ちる

A 中年の危機:中年は自分の人生が取るに足らないものだと自覚し、モチベーションを下げる=「おっと大変だ」と再スタートを切れるか

- 終了地点:終了が間近に迫ると、人間はそれを特別と感じる。

 

本著のノウハウからはいくつか、インサイトが引き出せる。「プロジェクトの終了タイミングで必ずラップアップする」「節目を大事にする」「プロジェクトの中盤で再スタートをするまでの休憩を設ける」など。

だが、ピンクの面白いところは、人間を時制で管理する理由に関して述べているポイントだ。

過去を懐かしむことによる恩恵は甚大である。それはノスタルジアが幸福に欠かせない二つのもの、すなわち意義と他者との繋がりをもたらすからである。・・・

ノスタルジアは「ほろ苦いが、圧倒的に肯定的で、根本的に社会的感情」である過去形で考えることは、「うちなる自己をのぞき込む窓」、本当の自分自身にたどり着く入り口を授ける・・・

レイヨウやサンショウウオは過去に経験した出来事の結果を予測できる。だが、人間だけが頭の中でシュミュレーションすることで未来を先に経験することが出来る。

 人間が自分の生きる時系列を考えることで、時期によって快活さに濃淡が出てくる。それは人間の「先見」や「回顧」と言う何にも変えられない能力のデメリットとも言えるものかもしれない。それは「遊び」や「退屈」と呼ぶのかもしれないが、人間が人生を一方向的に生きられないが故に出てくる綻びであり余剰なのだと思う。

ノウハウ本に止まらない人間の本質的な考察がピンクの好きなところだ。

日経BP「戦略思考の広報マネジメント」を読んで

広報を最近担当しているので、広報の基礎となる本を読んだ。

この本にある通り、広報とは企業の戦略をあらゆるステークホルダーにも浸透させていくコミュニケーションの窓口を担わなければならない。従来では、メディアとの関係構築・発信が主な役割とされていたが、本来であれば、戦略の打ち出し方を集約していく部署であると本書では言われている。特に情報発信し、関係構築する前段階の①情報収集・戦略構築・情報想像、そしていざとなったときの②危機管理力・組織力 も必要になると言う。

従来の広報では、この戦略構築と危機管理体制が抜けていることが多いと言う。

 

そう言う意味では、PMMによく似ているのだと思う。PMM自身が情報の発信源になる訳ではないけども、それをフィルターし、共通の指標に落とし込んで製品の優先順位や打ち出し方を判断していく。広報も、マイルストーンを持って、それを元に優先順位を決めていく。

 

本著に載っていて参考になったのは、まずスタバの事例。スタバではアドを一切打たないそう。One Voice to Customerを元に、全ての対外的なコミュニケーション活動を後方に集約して、打ち出し方や世界観を表現している。

また、オラクルのソートリーダーシップの発想も参考になった。「製品を語らずして製品を売る」と言うように、社内の有識者からノウハウや知識の発信をグローバルレベルで配信し、まずオラクル=ソリューションパートナーと言うイメージを埋め込むようだ。

SaaSでは定石のやり方ではあるけども、社員や株主・サプライヤーなど期待値はなんなのかを的確にマッピングし、自分たちが得ていきたいポジショニングは何かを定義することは広報とマーケが連携しながらやるべきことかもしれない。HRやプロダクトリリースなども含め、最近は部署間の役割分担が曖昧になってきているな。

 

以下は情報発信におけるアイキャッチな配信で気をつけるポイント。参考にしていく。

IMPAKT Design
Inverse 逆説・対立構造 「AAAは低価格やめます」

Most 最上級 「世界一高いAAA」

Public 社会性「地域再生AAA開業」

Actor 役者 「社長自らトイレ掃除」

Keyword キーワード・数字 「第三のAAA」「AAA○倍」

Trend 時流 「話題のAAA」

 

フィル・ナイト「Shoe Dog」を読んで ー企業のグローバル感度についてー

最近読んだ藤田田マクドナルドが貿易の中で「輸入」で成功したとすれば、アメリカで「輸出」に金脈を見つけ出した事業者もあったことだろう。それがナイキだ。


創業者のフィル・ナイトはいろんな意味で異端な経営者だったんだろうな、と思う。

まず、メーカーなのに、日本のタイガーの輸入代理店からスタートした点、一貫して日商岩井など通じて、日本から融資を得て成長し続けた点、ナイト自身はPwCで会計士をフルタイムでやりながら経営をし続けていた点など。

 

彼のエピソードでたびたび登場している「世界一周」のエピソードがあるけれど、ナイキはこの世界への敷居の低さを持っていたことが大きな強みだったのだと思われる。日本の円高が進んだ時んいそのリスクヘッジとして台湾やプエルトリコへの進出を企画したりなんて簡単に考えられることだろうか?当時そんなに海外を前提にビジネスをすることなんて簡単じゃなかったんじゃないかな。

この本の紹介文などで、「好きなことを続けることで成功すると言う勇気をもらった!」と言うようなコメントが多かったけど、本書はそんな簡単なことではないんじゃないのかな。

むしろ、そのキャリアが自分の学生時代やってきたことと稀有に一致しているからこそ、バウワーマンとか他の優秀な営業マンを捕まえられた訳で、やはり何を創業時に持っているのか、と言う部分がその後の成功に寄与すると思う。

最高のビジネスモデル・世界を前提に勝負できる経営者・優秀な営業や製品開発のブレーン。経営者の「世界の表彰台にナイキを」と言うスローガンの元に一直線に成長出来たのだろうな。大企業のビジネスモデルが絶対ではなく、付加価値を見つけられれば必ず付け入る隙はあるんだろうな。

 

それにしても、ナイキの厚底シューズが、東京マラソンの上位10名全員が着用するなど、今ちょうどナイキのシューズは世界的に手を付けられない状況にあるみたい。すごいな
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamaguchikazuomi/20200301-00165521/

 

 

Inspiredを読んで ー製品開発に関するインサイトー

製品開発に関してPMが担うべき役割を過小評価していたなと本気で反省した。

PMは製品開発に関するWhat とWhyを決める役割を担うのだけど、そのためには優れたユーザーエクスペリエンスが必要になる。そのためには以下のプロセスを踏むことが必須。

- プランニング(市場要件定義を行う)

- インタラクションデザイン(ナビゲーションフローの構築)

- ビジュアルデザイン(UIの構築)

- ラビッドプロトタイピング

- ユーザビリティテスト

意識しなければならないのはプランニング段階での要件定義はPRD(製品要求定義)とは別にしなければならない、ということ。営業段階でのリスク要件はMRDで吸収し、開発段階でのリスク要因に関してはPRDで吸収する。だから、PRDに受け渡す前に営業段階でのリスク要件を出来るだけ確度の高いフレームワークで落とし込まなければならない。

その意味で、収益性 vsコストの検証に加え、CX(顧客体験)マネジメントの検証が上記のデザインの検証の中で徹底的に行われたなければならない。例えばBtoBの顧客なら、顧客(とCS)のプロダクト使用サイクルの中でどんな体験ができれば対象となる課題が「確実に」除去されるのかをきちんと知らなければならない。

また、市場要件定義では飽くまでも「イシュー」に着手すべきかどうかから思考を始めなくてはならない。先のCXからの逆算過程もそうだが、本当に「イシュー」を解決するのにこの方法が最良なのか?の検証が第一に来なければならない。

そういう意味では、1. 着手すべき課題を整理する係 2.それに対してソリューションを考える係 3.そのソリューションの検証を行う係4. 実装を行う係 の4つが分業しなければならない気がする。PMMが1 PMが2.UXチームが3,エンジニアが4.と分担が必要だし、これを全部MRDとPRDに担わせるのは無理な話だよね。

 

PMの役割はせいぜい工数管理だと思っていた自分が馬鹿だった。課題に対する感度、それを実現させる実現方法に対するアイデア、そして検証するプロセス、の3つの感度が必要。かなり難しい仕事なんだな。


https://ferret-plus.com/11783

 

ジェフェリームーア:テクノロジーアダプションモデル/エモーショナルアダプションモデル

ユーザーモニター制度

製品原則

貞観政要のリーダーシップ ーサーバントリーダーシップを巡ってー

最近はサーバントリーダーシップという言葉が流行っている。

これはまさに李世民(太宗)が魏徴を側臣に迎え、唐の治世での様子を書いた「貞観政要」によく現れていて、ライフネットの出口さんの座右の書にもなっているようだ。一番まぁ理解しやすい思想は「3つの鏡」というものである。「銅の鏡」「歴史の鏡」「人の鏡」を意識してリーダーは振舞わなければならない、というもの。銅の鏡は自分の姿、常に自分が良いリーダーであるように振る舞いをただすこと、歴史の鏡は過去の状況から今の状況で正しい意思決定をできているか、人の鏡は第三者からの諌言を受け入れられるのかどうか。
①組織はリーダーの器以上のことは何一つできない(だからあえて自分の器を捨てて、他のメンバーにその器を満たしてもらう)

②リーダーは自分の都合の悪いことを行ってくれる部下を側におくべきである

③部下は上司に阿ってはならない。

だから、普段自分の周りにいるメンバー(適材)に一切をまかせ、自分は判断を行うために相談に乗れるようにすること、彼らの意見には必ず耳が痛くても耳を傾けること、という鉄則を抱えている。

当時は、実務が法家・理想を儒家・道理を道家がになったように、仏教を通じて国を治める姿勢があったからこそこういう思想が生まれていったのだろう。

実に日本的な発想だな、と思う。以前伊丹敬三や丹羽宇一郎などが指摘した、終身雇用を前提とした日本の完了システムでは、トップは意思決定を、現場が方針策定を担っていたからこそ、現場のイノベーションが生まれたという意見がある。

部下を褒める・叱るの割合は3:1と本著でも指摘されているのだけど、「楽しく」仕事するための環境づくりをいかに進めるかがリーダーの役割なのだということである。

 

マキャべリのように「君主は獅子のように獰猛に、狐のように狡猾に」行動し、自分の腹心以外は徹底的に排除する...(民衆は愛を持って接するものを徹底して攻撃し、攻撃するものには何も言わない)という「恐怖的」なマネジメントとは結構真逆である。

 

https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11843.html