ダニエル・ピンク「When 完璧なタイミングを科学する」を読んで
この本は「When」に関するノウハウ本だ。
なので、いかに要点をいくつかまずは書いておきたい。
- 午前中に集中できる時間がやってくる。午後にひらめきが必要な仕事を持ってこよう。(僕みたいな明らか夜型だと、夕方以降が集中のピークになるらしい)
- 休憩を取ると大幅に生産性が向上する。(20分以内の昼寝ならぼんやりするタイムラグが発生しない。)
- スタート:スタートのタイミングでパフォーマンスが変わる
A 明らかに8:30でスタートした授業の生徒はそれより遅い生徒よりもパフォーマンスが悪い)=モチベーションが上がる節目節目を大事にする。(学期の始まりなど)
B 就職したタイミングが不況だと、生涯賃金が明らかに低い
- 中間地点:人間は必ず中間地点でパフィーマンスが落ちる
A 中年の危機:中年は自分の人生が取るに足らないものだと自覚し、モチベーションを下げる=「おっと大変だ」と再スタートを切れるか
- 終了地点:終了が間近に迫ると、人間はそれを特別と感じる。
本著のノウハウからはいくつか、インサイトが引き出せる。「プロジェクトの終了タイミングで必ずラップアップする」「節目を大事にする」「プロジェクトの中盤で再スタートをするまでの休憩を設ける」など。
だが、ピンクの面白いところは、人間を時制で管理する理由に関して述べているポイントだ。
過去を懐かしむことによる恩恵は甚大である。それはノスタルジアが幸福に欠かせない二つのもの、すなわち意義と他者との繋がりをもたらすからである。・・・
ノスタルジアは「ほろ苦いが、圧倒的に肯定的で、根本的に社会的感情」である過去形で考えることは、「うちなる自己をのぞき込む窓」、本当の自分自身にたどり着く入り口を授ける・・・
レイヨウやサンショウウオは過去に経験した出来事の結果を予測できる。だが、人間だけが頭の中でシュミュレーションすることで未来を先に経験することが出来る。
人間が自分の生きる時系列を考えることで、時期によって快活さに濃淡が出てくる。それは人間の「先見」や「回顧」と言う何にも変えられない能力のデメリットとも言えるものかもしれない。それは「遊び」や「退屈」と呼ぶのかもしれないが、人間が人生を一方向的に生きられないが故に出てくる綻びであり余剰なのだと思う。
ノウハウ本に止まらない人間の本質的な考察がピンクの好きなところだ。